大人のつきあいとして、悩みの種になるのが「お中元」ですよね。学生の頃には必要がないお中元も、就職や結婚を機に考え始めるのが世の常識。今は贈らない人も多くなったとはいえ、職業柄や環境などによっては必要不可欠なおつきあいです。
しかしこれもやみくもに贈ればよいというものでもありません。お中元とは金銭・仕事(取引先など)・主従・親せき・〔結婚していれば)仲人、など、現物的な付き合いが背景にある人に対して、下位置のものから贈るもの。
逆に政治家・公務員・学校などの教員・医師(病院によって固く禁じているところもあります)・場合によっては上司にも贈らない・贈ってははいけないケースがあります。ああややこしい!というわけで今回は、一般常識たるお中元について、おさえておきたい基礎知識についてお伝えします。
お中元を贈る時期
お中元は、なにはさておき時期を逃しては話になりません。しかもやっかいなことに、関東と関西で時期が若干違うので要注意です。
【関東の表書き】
・7月15日頃までなら「御中元」
・8月初旬の立秋までなら「暑中御伺」
・それ以降は「残暑御伺」
※関東のお中元は7月1日~7月15日の間に到着するように贈りましょう
【関西の表書き】
・7月15日~8月15日頃までは「御中元」
・それ以降は「残暑御伺」
※関西のお中元は7月中旬~8月15日の間に到着するように贈りましょう
かけ紙は、のしのついた赤白の蝶結びです。直接お宅や会社を訪問し手渡すのがマナーですが、無理なら配送を依頼しましょう。配送してもらう際には、手紙などで挨拶状を添えるとよいですね。わからないことがあったら自己判断せず、会社の上司やデパートなどの店員に聞くようにしてください。
お中元に適した商品と金額の相場
さて、いざお中元コーナーを見てみるといろんな商品があって迷いますよね。相手の好みに合わせるのは基本中の基本です。会社によって毎年どこに何を贈っているのかや、金額の相場が決まっているケースがあればそれに従いましょう。
特に決まり事がない場合で、何を贈ったらよいかわからなければ、好きな時・好きなように使えて場所を取らない「商品券」がおススメです。また、相手の好みがわかっているならそれに合わせたお酒類や食品、季節を感じさせる和菓子系やそうめんなども人気。
他にも洗剤や調味料なども無難な線ですが、こちらはもらう側としては善し悪しが分かれる様子。洗剤などは使うメーカーを固定している人もいるのでちょっと気にかけるといいかもしれませんね。
ちなみにお中元にかける金額の目安ですが
・親せき、知人……3~4千円
・仲人、お世話になっている人(上司含む)……5千円前後
・(公私限らず)特別にお世話になっている人……5千円~1万円を相場として考えるとよいでしょう。
お中元の返礼
お中元は、渡すばかりではありません。いただいた際の返礼についても把握しておきましょう。お中元は基本的にはお返しは不要です。品物が届いたら先方に連絡を入れてお礼を述べ、後日お礼状を出すようにしてください。
【こちらから贈っていない相手から届いた場合】
・お返しをしたいと思った場合は「御中元」と表書きをし、半額程度の品物を贈りましょう。
【お互いに負担になるなどの理由で受け取りたくない場合】
・今回のみ頂戴し、お礼状とともに同額程度の品物を贈りましょう。お礼状には「今後はお気遣いのないよう、お願い申し上げます」と一筆添えます。
【立場上受け取れない場合】
・職業柄や立場上などの理由で受け取れない場合は、品物は開けず、お礼状に「せっかくのお気持ち申し訳ない限りだが、立場上受け取ることができない」という旨を丁寧な言葉で書いてお返ししてください。
【贈ったが、先方からお断りされた場合】
必要以上に気に病むことはありません。相手も心苦しく思っているはずなので「心なくお送りして申し訳ございませんでした」とお詫びの手紙を出しましょう。お中元は心遣いのやり取りです。角が立たないように、礼を尽くしましょう。
贈る時期を逃してしまったら
お中元を贈るべきだったのに、諸事情から時期を逃してしまった!というのも(本来ならばあってはいけませんが)社会人あるあるですよね。ですが時期を逃したからといって放置して、相手との関係性がなんとなくぎくしゃくしてしまっては元も子もありません。
お中元を贈る時期を逃したのならば、贈る時期に合わせて表書きを変えてしまえば問題ありませんし、相手もあなたの心遣いを喜んでくれるはずですよ。
ちなみに相手が喪中の場合は、基本的には忌明け後に贈るようにします。忘れてしまいそうなら忌明け前でも仕方ありませんが、そこは相手の心情を汲んで調整するようにしてくださいね。
届いた品物が破損していたら
さて、お中元とは一方的に贈るだけではありません。場合によってはあなたが受け取る側に回ることになるかもしれませんよね。ですがいざ中身を改めたら破損していた……、こんなトラブルも、実は割とよくある話なのです。
ここでやってはいけないのが「贈り主に破損していた旨を報告」すること。相手の気持ちを無にしてしまいかねません。伝えるならば、発送元の店に連絡を入れましょう。お客様相談室か事故係といった、対応窓口につないでくれるはずです。
もしも内容物が違っていたり、送り状が届いているのに品物が届いていない、という場合にのみ、相手側に連絡を入れて協力を仰いでみましょう。
さて、お中元に限らず、社会人の常識は悩みどころが多いもの。しかしポイントさえしっかりおさえておけば、あなたが世渡りしていくうえでの強い武器になりえます。めんどくさいと思わずに、きちんと把握しておくとよいでしょう。
お中元を贈るにしても、いただくにしても、挨拶状を添えるのが、デキル大人の基本です。贈る側なら日頃の感謝を込めて、いただいた側なら品物の感想を。定型文はありますが、形式にのっとりつつも、あなた自身の言葉でつづられた手紙は、相手にとってなにより嬉しいものになるはずですよ。
難しく考えることはありません。相手との関係をよりよくしたい、大切にしたいという思いを形にするだけの事。礼節をわきまえて臨めば自然とうまくいくものです。
まとめ
お中元について、おさえておきたいポイントとは
・ お中元を贈る時期
・ お中元に適した商品と金額の相場
・ お中元の返礼
・ 贈る時期を逃してしまったら
・ 届いた品物が破損していたら