大卒や若い人の間では、依然「就職氷河期」が続いている日本です。長く続く不況からの復興の足取りもつかめないまま、少子高齢化がすすみ経済は右肩下がり。更に度重なる大災害により、崩れかけた経済の立て直しもままなりません。
そんな就職難の日本なのに、「人手不足」で困っている職種も多く存在します。就職難の理由の一つに、「誰もが安定した大企業に勤めたがる。」ということが挙げられます。人気の職種や人気の企業には就職希望者が多く集まるのに対し、人気のないきつい仕事や地味な仕事は万年人手不足で悩んでいます。
日本の将来を本当に懸念するのであれば、人手不足の職種に手を差し出し、日本を支える土台となってほしいと願います。そこで今回、就職難の日本社会における「人手不足で困っている職種」をお伝えします。
就職難なのに、人手が足りなくて
困っている6つの職種
需要が増え続ける介護職
「少子高齢化」とよく言われていますよね。日本は、子どもの人口は年々減っているのに、高齢者の人口は増え続ける一方です。しかも、元気な高齢者ならまだしも、「要介護」の高齢者の数が急増しているのです。
当然、自分の世話の出来ない高齢者を支える介護職は多くの人手を必要としています。しかし車いすの乗り降りや、老人の下の世話など、介護職は体力や膂力を必要とする職種で、仕事は決して甘くはありません。きつい現場を目の当たりにし、辞めていく人も少なくないのです。
需要が多い介護職ですが、給料もそれほど多くないという実態もあり、思うように人が集まらないのです。これからますます要介護の高齢者は増えると予想されます。介護職も、給料の大幅アップなどの策を掲げて、就職難の解消の一役を担ってほしいものですね。
下請けの建設業
日本が2度目のオリンピック招致に成功して、お祭り気分で浮かれていたのも昨日のこと。オリンピックまでの短い期間に東京の街をオリンピックに向けて大改造しなくてはなりません。オリンピックに向けて株価だけは上がったものの、経済そのものの上昇率は予想以上に厳しい結果です。
そして、建設現場での人手はいくらあっても足りないのに、なかなか人が集まらないのが現実です。就職難の中でも、きつい建築現場仕事を避ける人が多いからです。建設業は力仕事なので、若い男性を多く求めています。
しかし「現場で建設する」こと自体をどこか軽んじ、「上から指示を出す」ことを高尚な仕事と考える人も多いのです。そのため下請けの建設現場は慢性の人不足で悩んでいます。
建設業は給料も良く、自らの手で東京の街を作っているという実感を得られる素晴らしい仕事です。「就職難で職がない。」とぼやく若い世代が、建築現場へと足を向けることを願います。
転職率の高い営業職
営業職はいつの時代も慢性の人手不足で悩んでいます。現場作業や体力仕事とは違い、コミュニケーション力を駆使する営業職の人気は、それほど悪くはありません。就職難の中、営業職を望む人は決して少なくないのです。
しかし実際に営業職に就くと、あまりの人間関係の難しさにやめていく人が多いそうです。営業職は転職率が高いため、いつでも新しい人を求めています。
患者数が増え続ける医師
稼げる職業の代名詞ともいえる「医者」ですが、こちらも人手不足に悩んでいます。医者を育てるためには長い年月を要します。
しかし高齢化が進む中、患者数はうなぎ上りに増え続けています。また、都会の大病院などでは高給なため希望者も多いのですが、地方の病院では医師不足に悩んでいます。
就職難と言えども、「医師免許」という伝家の宝刀を持っていればどこでも働くことはできるでしょう。苦労して手にした医師免許で、本当に困っている患者さんたちの力になりたいと願うのならば、人手不足の地方の医療をこそ、支えてほしいと願います。
夜勤に人手不足の看護職
「人気の資格」として「看護師」「美容師」「薬剤師」「保育士」などが挙げられます。中でも人気の高い看護師の資格を取る人は多くいます。就職難であっても氷河期であっても、医療現場の需要は常にあり、看護師の資格さえ持っていれば就職できないということはまずないでしょう。
就職難の時代だからこそ、「看護師免許」の取得を重視する人は多いのです。看護師の仕事で一番きついのは「夜勤」だと皆言います。一晩中おきていて、入院患者の異常に警戒していなくてはなりません。
夜勤続きで朝晩の睡眠リズムが狂い、健康を崩す看護師さんも少なくありません。また、子どもがいるなどして夜勤できない看護師も多くいます。夜勤までバリバリこなしてくれる独身の健康的な看護師を求めている病院は多いでしょう。
農業人口の減少
近年、農業に従事する人口は減り続けています。専業農家の家も少なく、多くの農業従事者は「兼業農家」として、農業以外の収入源を持っています。農業の現場は体力も必要で、朝も早くから仕事が開始し、年間を通して休みがほとんどないという過酷な重労働も、農業人口減少の後押しをしています。
就職難と言っても、それは都会の企業におしゃれに務めたい人たちが、「高尚」と考えられる仕事を取り合って言っているもの。農業に一生を捧げようと農村に来る人は稀です。
日本の食料自給率を上げるためにも、農村地帯の若年層の確保は、今後の日本経済の方向を左右する大切な課題でしょう。就職難の時代だからこそ、多方面から日本の将来を支える選択肢に目を向けてほしいと願います。
さて、就職難に関わらず、人手不足で困っている職種について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。希望の職種に就職できなかったからと言って落ち込むことはありません。あなたという働き手を必要としている職場は、日本中にたくさんあるからです。
「かっこいい企業に正社員として入社する」ことだけが王道ではないのです。人の数だけ、仕事の数だけ「王道」があるのです。周りに流されて、本当に自分に合っているかどうかも考えずに大企業への就職を安易にきめてはいるのではないですか。
今一度、日本という国の大局をみて、「自分」という歯車をどこで活用するべきかを考えてから、就職先を決めてみてください。「給料」よりも「やりがい」の方が、いつまでも働く意欲を生み出してくれるものですよ。
まとめ
人手が足りない職種とは?
・需要が増え続ける介護職
・建設業の現場作業員
・転職率の高い営業職
・患者数が増え続ける医師
・夜勤に人手不足の看護職
・減り続ける農家の人手