人間が普段の生活の中で、一番見る機会が多い身体の部位は、きっと「手」ですよね。字を書くにも、料理や掃除をするにも手を動かし、仕事中もかなりの頻度で目にしています。
いつも目にしているからこそ、指を切ったり、擦り傷や指が腫れるなど、手の異変には気づきやすいものです。そのような場合、比較的初期段階で気が付くこともできますが、いつも酷使しているから、指が腫れることぐらい、そのうち治るだろうと思って放置しておくのは危険です。
単なる指が腫れる症状でも、それは恐ろしい病気の初期症状の可能性があるのです。症状が悪化してしまえば、免疫力の低下や、患部を掻いたことによる傷から、別の病気や感染症を呼んでしまうこともあります。
そこで今日は、指が腫れる症状を伴う7つの病気について解説します。ではご覧ください。
関節周辺が小さくプックリ指が腫れる、へバーデン結節やブシャール結節
指の第一関節や、第二関節周辺にプックリと丸く指が腫れる症状を、へバーデン結節、ブシャール結節と呼びます。これらは原因不明の腫れとされており、高齢の女性に多く現れるため、遺伝の可能性も指摘されています。
症状としては、患部のみ丸く腫れて、痛みを感じるようになり、腫れ方によって指が曲がってしまうこともあります。左右同じように腫れが見られる場合は要注意です。
指全体が大きく腫れるのは、リウマチなど膠原病によるもの
膠原病の中でも最も多い、関節リウマチによっても指が腫れる症状をひき起こします。関節リウマチによる腫れは、どちらかと言うと関節周辺から指全体にかけて大きく腫れあがるような症状が多いでしょう。
指の関節に炎症がおこったために現れる症状です。男性よりも女性の方が、およそ4倍も多く発症すると言われています。また、治療法も確立されていないため、対症療法が主になるでしょう。
プツプツとして強い痛みを伴うのは、帯状疱疹による指の腫れ
帯状疱疹は水痘ウィルスと言って、水疱瘡と同じウィルスに感染したために起こる病気です。この病気にかかると、虫に刺されたように、赤くぷっくりと指が腫れるという症状がみられます。
特徴としては、その赤い腫れの中にプツプツとした水疱が見られたり、身体の片側のみに症状が現れます。片手だけに強く痛む水疱ができたら、帯状疱疹を疑いましょう。
治療は、抗ウィルス薬を処方されたり、痛みによってはビタミンの注射を打つことがあります。
男性に多く、強い痛みを伴うのは痛風によるもの
痛風による症状が手指に出ることがあります。痛風は、身体に溜まった尿酸が関節付近で結晶化してしまうために、腫れや強い痛みが起こる病気です。
多くの場合、尿酸は重力に関係する為、足の指に症状が現れやすいと言われていますが約1/3の患者では手の指が腫れるという症状が現れることがあります。尿酸はプリン体の摂取により作られるため、ビールをはじめ肉や魚、砂糖などが多い食生活をしていると痛風のリスクを高めます。
手指のつけ根が腫れるのは、腱鞘炎やばね指によるもの
ばね指は腱鞘炎とも呼ばれますが、腱鞘炎のもっと悪化した状態を指し、指を曲げ伸ばしする際に、つまるような、引っかかるような感覚を伴います。
腱は、関節の筋肉を支える紐状の組織で、腱鞘炎による腫れでは、指のつけ根が腫れ、日常生活などによる酷使などにより症状が現れます。一番の治療は、指を固定して安静にしていることですが、症状が深刻な場合はリハビリによる治療や、手術療法も選択されます。
指先が痛むひょうそは、小さな傷やささくれから菌に感染して起こります
水仕事や手荒れなどにより、指先に傷ができ、そこから菌に感染して指が腫れるのがひょうそです。ひょうそは、傷から黄色ブドウ球菌に感染して、ズキズキと指先が痛み、腫れを伴います。
治療では、黄色ブドウ球菌に効果のある抗菌薬や、痛みが強い場合は痛み止めを処方されます。状態によっては自然治癒できる場合もありますが、悪化してしまうとリンパ管から菌が前身に広がり、リンパ節炎を引き起こしてしまうため、痛みがある場合にはしっかり受診しましょう。
冬場にありがちなのが、しもやけによる腫れです
真冬で外気が5度、日夜の温度差が10度以上ある場合に現れるのが、しもやけです。外気が寒くなると血管の収縮が悪くなり、指先など毛細血管に炎症やうっ血を起こします。
主な症状は手や鼻の頭など表に出ている部分が赤く腫れ、じんじん痒みを感じます。中には発疹を伴う場合もあるでしょう。毛細血管の流れを良くするためにビタミンEを内服したり、炎症による痒みに対応するためにステロイドを塗布すると効果的です。
一言に指が腫れると言っても、腫れている部位、腫れ以外の症状や生活習慣などにより、起こる病気は様々です。強い痛みや痒みを伴ったり、日常生活に影響がでているようなら、急いで病院を受診しましょう。
ここで紹介したリウマチや痛風などは、早期の対処により症状の進行を遅らせることができます。また、帯状疱疹においても、部位によっては神経痛が残ってしまう場合もあるので、しっかりとした治療が必要になります。
ご紹介した病気の中には、生活習慣によって起こる病気もあるため、症状が無くとも日頃の食事や小さな傷などについては注意を向けておきましょう。
医学がいくら発達していても、全ての病気を治せると言うわけではありません。日頃から健康的な生活を心がけ、予防に努めるのが一番の治療かもしれません。
まとめ
指が腫れる時に考えられるのは
・関節周辺が小さくプックリ腫れる、へバーデン結節やブシャール結節
・指全体が大きく腫れるのは、リウマチなど膠原病によるもの
・プツプツとして強い痛みを伴うのは、帯状疱疹による指の腫れ
・男性に多く、強い痛みを伴うのは痛風によるもの
・手指のつけ根が腫れるのは、腱鞘炎やばね指によるもの
・指先が痛むひょうそは、小さな傷やささくれから菌に感染して起こります
・冬場にありがちなのが、しもやけによる腫れです