別居と離婚、どちらが正しい選択なのか、夫婦の別れを決断したら悩む事があるでしょう。どちらも2人の関係に距離を置く点では共通していますが、戸籍上の夫婦関係を続けるかどうかという点で大きな違いがあります。
別居をすれば、毎日顔を合わせずにすみますし、生活を共にしないため、実質的には独身になったも同然になりますが、戸籍上は相手との夫婦関係が続いています。一方で離婚をすると戸籍上の夫婦関係が解消されるため、実質的にも戸籍上でも独身になります。
それでは、別居をするのと離婚をするのとでは、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。具体的な夫婦関係の状況や別れを決断するに至った状況のケース別にメリットとデメリットをご紹介します。
別居のメリット1:引き返す事ができる
別居という別れの形を選択すると、やっぱり夫婦関係をやり直したいと思った時に引き返す事ができます。少しでももう一度夫婦関係をやり直す可能性がある場合には、すぐに離婚をせずに別居という別れの形を選択するのが賢明でしょう。
しかし、相手の事を考えることすら嫌だとか生理的に拒否反応がでる位相手の事を嫌ったり恨んでいる場合には、別居を選択すると戸籍上は夫婦関係が続いていますから、自分の苗字を名乗るときや個人情報を書類に記載するときなどに相手のことを思い出してしまうというデメリットがあります。
別居のメリット2:自分の気持ちを見つめなおすことが出来る
別居を選択することによる最大のメリットは、自分の気持ちを改めて見つめなおす事ができるということです。
相手に対して愛想を尽かして別れを決断しても、それが一時的な感情で、冷静になった時に実は相手に対してまだ愛情があったことに気づいた時、離婚をしていると簡単にはやり直せないというデメリットがあります。
しかし、別居をするとことによって、相手の大切さを改めて実感することができたり、自分の相手に対する忘れかけていた気持ちを見つめなおすことができるのです。
別居のメリット3:専業主婦でも経済的に安定できる
結婚して専業主婦になった場合、離婚をしてしまうと経済的に生活水準が落ちてしまうというデメリットがあります。しかし、別居をすれば、夫婦という関係は解消されないため、夫には妻を経済的に扶養する必要があるので、経済的に安定を得ることができます。
ここで重要なのは、別居をする時に家計のおさいふをどうしていくか、夫婦でよく話し合って決めておくことです。なるべく決定事項は、書面に残しておくことをおすすめします。
離婚のメリット1:心機一転の人生をスタートできる
離婚をすることによって得られるメリットは、なんといっても、心機一転の新しい人生の再スタートを切れるということです。別居をするにとどまっていると、戸籍上は夫婦関係が解消されていないため、新しい恋愛をすることができません。
まだ年齢的に若く、今の配偶者以外のパートナーを見つけて人生をやり直したいと思ったら、思い切って離婚を選択した方がいいでしょう。
離婚のメリット2:相手との縁を一切切ることが出来る
離婚をすると戸籍上、夫婦でなくなりますので、一切の縁を切ることができます。例えば、家庭内暴力を受けていたり、長年の間、モラハラを受けていて精神的苦痛を受けているなど、相手との関係を一切切ったほうが良い場合には離婚を選択しましょう。
別居には、物理的に相手との距離を離す事ができても、何かあった場合には配偶者として相手に会わなければいけない場面があるというデメリットがあるためです。
離婚のメリット3:相手に原因がある場合慰謝料を受け取れる
不倫をされるなど、明らかに相手に非がある場合には、離婚を選択すると、慰謝料を請求できるというメリットがあります。
相手の年収にもよりますし、日本ではあまり高額な慰謝料請求ができないケースが多いですが、財産分与などでも金銭を受け取ることが出来るかもしれません。
しかし、別居をするだけでは、住んでいる場所が異なるだけで夫婦関係は解消されませんから、当然慰謝料も発生しません。相手と一切の縁を切る覚悟ができていて、相手を懲らしめたい!と思っている人は離婚をしたほうがメリットがあると言えます。
このように別居と離婚にはそれぞれメリットとデメリットがあります。しかし、一概にどちらがいいとは言えません。それは、夫婦がおかれている状況によってメリットとデメリットが異なってくるからです。
夫婦として一緒にやっていく自信がないとか、別れたいと感じたら、一時的な感情で結論を判断せずに、別居して夫婦関係を継続させるか、それとも離婚をして一切縁を切るか、良く検討することが必要でしょう。
ここで注意したいのが、夫婦2人で話合うかどうかです。関係が悪化した夫婦間で話しあうとお互いの利害が一致せずに揉めることがありますから、そのような場合には自分の味方である家族や友人に相談しながら決めていく方が良いでしょう。