香典の金額に関して調べる機会はあっても、お坊さんに直接お渡しするお布施の金額を知る機会はなかなかないですよね。
お通夜や葬儀などには、人とのお付き合いの分だけ参列する機会があるゆえに、ご遺族にお渡しする香典の金額の世間相場は比較的よく知られていますが、参列の機会が少なく明確な料金表もない法事のお布施は、先祖代々からのお付き合いの度合いによって金額が左右されることも多く、いざという時に「誰に聞いたらわからない」状況に陥ることもあります。
しかし執り行われる法事の本来の意味や種類、相場を知っていればお布施の金額に悩むことも少なくなりますし、お坊さんとの関係もうまく進められるはず。そこで今回は、金額の相場も含めて、お布施について知っておきたい知識についてお伝えします。
そもそも「お布施」とは
お布施の金額を知る前に、まずはお布施についてきちんと知っておきましょう。お布施とは詰まるところ「様々な仏事(法事・法要)の際にお坊さんに渡す謝礼」です。読経や説法など一連の仏事を通してお世話になる御礼、という意味も含まれます。
お布施はあくまで「お寺への寄付」であり「御心づけ」に位置するもの、と考えるとお布施の金額が「料金○○円」といった具合に明確にはならないのが納得いくのではないでしょうか。
だからこそ、長年の付き合いでなんとなく相場が決まっているケースもあれば「聞いた数だけ答えが返ってくる」なんてケースもあるのが現状です。
お布施の種類について
お布施の金額を知る前にもう少し掘り下げていきましょう。お布施及びお布施と一緒に渡す金品には、一般的に3種類あります。
【お布施:おふせ】
・読経そのものに対する謝礼【お車料:おくるまりょう】
・法事を執り行う場所まで出向いていただいた際の交通費【お膳料:おぜんりょう】
・法要後の宴席に相当する食事代
お布施の金額だけを包む場合もあれば、この3種類を組み合わせて包む場合もあります。状況や地域、お坊さんとの関係によって変わりますし、代々のお付き合いならば「毎回○○円」と決まった金額を渡すのが慣習となっていることもあります。特に決まり事がないのならば「お布施+お車代」で渡すのが一般的と考えておいてよいでしょう。
お布施の金額を決めるには
お布施の具体的な金額に関してはさまざま。お寺やお坊さんとあなたの家の付き合いによって違ってくることもあります。ですから、お布施の金額を決めるのに最もよい方法は、実は「お坊さんに事前に聞く」ことです。
しかし、実際に「お布施はいくらですか?」と聞くとたいてい「お気持ちでけっこうです」と返されてしまうでしょう。これでは結局問題は解決せず……ということになりかねませんよね。
なので、お坊さんに事前にお伺いする場合は「他の皆さんは、お布施をどれくらいされていますか?」と聞いてみて下さい。これならお坊さんも答えやすく、トラブルを未然に防ぐこともできるはずですよ。
他にも葬儀会社などに問い合わせてみるなどといった手もありますが、だいたいの目安もお知らせしておきます。
【通夜、葬儀・告別式のお布施の金額 】
・2日間のお葬式で、戒名や読経をお願いした場合で、約15万円~50万円といった範囲が多いようです。【祥月命日法要のお布施】
・5000円~1万円程度【四十九日法要のお布施】
・3万円~5万円程度【一周忌法要のお布施】
・3万円~5万円程度【「三回忌以降のお布施 】
・1万円~5万円程度
参考にしてみて下さいね。逆に、最もやってはいけないのが「お坊さんとの意思疎通がないまま法要を進めること」です。後々高額な料金を提示されたり、遺恨を残したりとなにかとトラブルのもとを招きかねませんのでご注意を。
お布施を渡すタイミング
お布施の金額をあらかた把握したところで、今度は渡すタイミングについても頭に入れておきましょう。合同法要の場合はお寺(本堂)などの入り口に受付が用意されていることがありますから、お寺に入る際に、受付の方にお渡しします。
特に受付が用意されていない場合は法要が始まる前・慌ただしくてタイミングがつかめないようならば法要を終えてから。一言挨拶を添えてお渡しするようにしてください。葬儀社を通しての法要ならば、葬儀社が挨拶のタイミングをセッティングしてくれるはずです。
「今日は○○のために、お勤めよろしくお願いいたします」と挨拶を添えてお布施をお渡しするとよいでしょう。お布施の金額云々の前に、礼儀を欠いてはいけません。なにかと慌ただしくとも、きちんとした言葉遣いとご挨拶は怠らないようにしましょう。
お布施を渡すときのマナー
お布施の金額もばっちり、封筒にも入れて準備万端、後は渡すだけ……さてそのお布施、まさか裸で渡そうとはしていませんよね?お布施は金額に関係なく、袱紗(ふくさ)から取りだして渡したり、お盆にのせて渡すのが常識です。
【切手盆(きってぼん)にのせて渡す】
お布施を直接手渡しするのはマナー違反。切手盆・祝儀盆と呼ばれるお黒い盆にのせて渡すのが一般的な作法です。お盆がない場合は葬儀社が用意してくれるケースもありますから、相談してみるとよいでしょう。
【袱紗(ふくさ)を使って渡す】
袱紗は盆よりも手軽ですし、慶事にも弔事にも使えるものがありますから、用意しておいて損はないでしょう。弔事の場合は紺・深緑・灰緑・緑・鶯・灰青・灰色といった落ち着いた色合いのものを使用します。紫なら慶事の際にも利用できるので、迷ったら無難に紫のものを選んでおくとよいですね。
法要に限らず冠婚葬祭において、包んだお金を直接カバンなどに入れて持ち歩き、そこから出して渡すのは常識外れですから気を付けましょう。
さて、法要のマナーはさておき、お布施の「金額」といった、踏み込んだ部分に関してはなんとなく口に出しづらいもの。ましてかかる費用など、お金が絡むことはちょっと聞きにくい気持ちもありますよね。
しかしたいていの人が密かに悩んでいるところでもありますから、いい機会と思ってしっかり把握しておきましょう。また、お布施の金額と合わせてマナーについても振り返っておきたいところです。
社会人たるもの、年齢とともに「知らなかった」では済まされなくなってくるのが冠婚葬祭における一般常識です。冠婚葬祭に関しては、誰もが一挙手一投足に敏感になっています。完ぺきにこなすのは難しいとは言えど、最低限の常識はちゃんと頭に入れておきましょう。
まとめ
お布施に関して知っておきたいこととは
・ そもそも「お布施」とは
・ お布施の種類について
・ お布施の金額を決めるには
・ お布施を渡すタイミング
・ お布施を渡すときのマナー