肘の痛みの原因から、行うべき適切な対処とは

肘の痛みの原因から、行うべき適切な対処とは
肘の痛みがあるとき、野球やゴルフ、日常生活での怪我など、その原因が分かれば対処法もわかりますよね。
基本は早めに病院に行って診察してもらうのが一番ですが、そんな余裕がない場合でも、対処法を知っていれば、肘の痛みの悪化を防ぐことができます。そこで今日は肘の痛みの原因から、行うべき適切な対処についてお伝えします。ではご覧ください。



 

肘の痛みの原因から
行うべき適切な対処とは

 


上腕骨顆上骨折の場合:早急に手術をしましょう


幼稚園児や小学校低学年にもっとも多いのは、この上腕骨顆上骨折です。鉄棒やうんていから落ちた時に肘が腫れていたり、肘を痛がっていたりしたら、この骨折です。昔はギブスで固定などをしていましたが、今はその日の内に手術します。

骨折すると、骨と骨の間に血管や神経などが挟み込まれて、血管が傷つき(フォルクマン拘縮)、神経が麻痺するなどの重い合併症の恐れがあるからです。その結果、血が通わず、筋肉が成長しないので腕が短く成長したり、ずれた骨が正常に発育しない為に、肘を伸ばした状態でも内側に湾曲する「内反肘(ないはんちゅう)」変形が起こります。

10年ほど前までは「曲がったままでも成長するうちに自然と治るだろう」と考えられていましたが、矯正される場合は稀です。ただちに手術しましょう。ストレッチやセルフケア運動でどうにか出来るレベルではありません。

 


野球肘の場合:安静に、しかし、症状が酷ければ手術をしましょう


小学校高学年、中学生で野球をしている生徒は、「野球肘」になりやすいです。これはピッチャーに多くみられます。骨端周辺の骨や軟骨が未熟であるにもかかわらず、過度に投球を繰り返すことによって、肘関節を保護している軟部組織の軟骨や靭帯、筋肉、腱が損傷するのです。

医学的には、「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」と離断性骨軟骨炎などが「野球肘」に当たります。成長が完了した投球歴の長い選手でも、骨軟骨や筋腱付着部などの軟部組織に障害が起こります。

そもそも、人間の身体は関節を連続して激しく動かす運動を想定して形成されていません。繰り返される投球動作によって、肘の内側にある靭帯組織が劣化して、伸びたゴムのようになるのです。それどころか、肘の外側への圧迫ストレスが長期に渡って続き、症状が悪化すると、その後、「骨軟骨片」が骨からはがれるようになります。

はがれた骨軟骨片は、肘関節内を彷徨う形になります。この剥がれた骨軟骨片を「関節ねずみ」と呼び、この関節ねずみと呼ばれる骨の遊離体は、場合によっては肘に刺すような痛みをもたらすようになります。

関節ねずみは放置しておいても問題ないケースもあることはあるのですが、定期的に刺すような痛みをもたらす場合は関節内手術を行い、関節内の遊離体を取り除く必要があります。

 


テニス肘の場合:テーピングをして、安静を保ちながらゆっくりとリハビリ


「テニス肘」は、テニスなどのラケットを使用したスポーツを行う人に多くみられるスポーツ障害です。とは言え、タイピストや調理師、そしてノートパソコンを多用するビジネスマンにも良く見られます。医学的には、「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」「上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)」と呼ばれます。

通常、世間一般で腱鞘炎と呼ばれる症状です。無理に手首と肘の力を使うことで、筋や腱の変性や骨膜の炎症が起こるのです。実はこの変性は、加齢によっても起こります。それどころか、包丁を握る、ゴルフでクラブを握るなど、手を握る動作を繰り返したり、五十肩を患った後にテニス肘になる場合もあります。その多くは、手首を曲げたりひねる動作のときに肘や前腕に痛みを感じます。そして、タオルを絞る、ドアノブをひねるとか、ペットボトルのキャップをひねるなどの、ひねる動作が難しくなっていきます。

日常生活の注意点としては、手のひらを下にしてモノを持って動かすことはできるだけしないことです。手のひらを上に向けて持つのは問題ありません。勿論、キーボードを使い過ぎないように。手首をより上に手がある状態が続くと、テニス肘になりやすいと言われています。

対処法としては、テーピングやサポーターをするなどして、安静を保ち、ゆっくりとリハビリ運動を行います。肘の外側(上腕骨外側上顆)に付着する筋のマッサージや手首周囲の柔軟性を改善するストレッチが良いでしょう。急いでは元の木阿弥になりますので、ご注意を。

 


関節リウマチの場合:安静にし、適切な指導の下、リハビリ運動をする


青年期、特に30代以降の女性に多く見られるのは、「関節リウマチ」です。関節リウマチは、手の指や肘から発症することが多く、最初は、「朝起きたときに手や指がこわばって握りにくい」「肘の曲げ伸ばしがスムーズにできない」という症状がみられます。また、「何となく身体がだるい」「食欲がない」「熱が出る」などの、風邪によく似た症状も合併して発症することも多いです。遺伝的要因に加えて、ウィルスなどの刺激が発症のきっかけになると考えられています。

関節リウマチの発症は圧倒的に女性が多く(男性の四倍の発症リスク)、血液検査で「抗CCP抗体」を計るとすぐに診断はつきます。最近では六十歳以上になってから発症する、高齢者発症関節リウマチが増えてきていますが、この場合、発症リスクは男女共同じ割合です。

対処法は、まず良く寝ること。次に、喫煙と発症の関連性が指摘されているので、禁煙をしましょう。

関節リウマチの場合、間質性肺炎を発症している例が多く、喫煙はこの間質性肺炎を悪化させます。そして、手足を冷やす環境を避けて下さい。また、入浴後の、身体が暖まった状態で、リハビリ運動を行うと効果的でしょう。

・両手の指をそれぞれ10回曲げるだけの運動
・医者の許可を得た後で、首を上下に曲げ伸ばす運動(10回)
・座ったまま、腕を「前へならえ」の姿勢をして、10秒間保ちます。その後、両腕が肩幅から広がらないように上へ両腕を伸ばします。
・その腕を下ろした後、「前へならえ」の状態から左右へ広げます。
・最後は手首の運動で、手首を起こして五秒間静止、その後は下げて5秒間静止、を10回繰り返すのが効果的です。

 


変形性肘関節症の場合:安静に、しかし症状が酷ければ手術をする


「変形性肘関節症」は60代の男性、おもに肘をよく使うスポーツや重労働をしていた男性に多くみられます。痛みや肘関節の可動制限で口に手が届かない、髪を洗えないなど、日常生活のなかで肘を曲げたり伸ばしたりするのが困難になって気付く事が多いようです。

通常は肘の軟骨が関節面を覆っていて、肘にかかる衝撃をやわらげてくれるのですが、その軟骨がすり減ると骨と骨がぶつかり、骨棘ができて神経に当たるため、肘を曲げると痛みを覚えます。症状が重い場合、「関節ねずみ」が見られる場合もあります。

対処法は、症状が軽ければテーピングやサポーターをつけて安静にすることです。症状が酷い場合、外科手術で骨棘や関節ねずみを取り除きます。あまりにも酷い場合、損傷の激しい部分を人工関節に置き換える手術を行う必要があります。

 

いかがでしたか。原則として、人間の身体は、肘や関節を継続して激しく曲げたり開いたりする運動をすることを想定して進化していません。酷使すれば傷つく。それはもう当たり前の事だと考えて下さい。

どこが壊れるか、関節の軟骨がすり減るか、骨がトゲトゲしく変形するか、また剥がれるか、などの違いはありますが、基本的には、安静にして、可能ならリハビリ運動を行い(骨折していたらご法度ですが)、手術で壊れた部分を取り除く、というのが肘の痛みの対処法になります。皆さんも安静にして、明るく楽しく生活を送りましょう。

 

今日のまとめ

肘の痛みの原因から、行うべき適切な対処とは

・上腕骨顆上骨折の場合:早急に手術をしましょう
・野球肘の場合:安静に、しかし、症状が酷ければ手術をしましょう
・テニス肘の場合:テーピングをして、安静を保ちながらゆっくりとリハビリ
・関節リウマチの場合:安静にし、適切な指導の下、リハビリ運動をする
・変形性肘関節症の場合:安静に、しかし症状が酷ければ手術をする

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