養育費は、離婚をする際に一般的には、世帯主ではない母親が子供親権を獲得した場合に父親から受け取ることが出来る、子供を養育するための費用です。協議離婚をした際には、調停調書や和解調書などの公正証書に養育費の金額や支払日などを定めて明記していますし、調停離婚した場合にも同様です。
しかし、実際に離婚をしてしばらく年月が経過すると、独身になった男性は子供の記憶が薄れていき、養育費を積極的に支払う姿勢がなくなっていく事があります。いやいやながらも支払いをしているうちはいいのですが、人によっては、支払うことすら何も連絡なしにしなくなってしまう事もあるのです。
養育費は、親には支払う義務が民法で定められていますが、実際に支払いが滞るとどのように対処していいのかわからない人もいるでしょう。そこで、養育費を払ってもらえずに困った場合の対処法をお伝えします。
養育費を払ってもらえず困った場合の
おすすめ対処法7つ
メールやSNSのメッセージで連絡
養育費が支払われなくなった場合、まず最初におすすめする対処法は、メールやSNSのメッセージなどで連絡をとってみることです。人間誰しもうっかり忘れてしまうことがあります。
仕事で忙しくてつい忘れてしまったとか、病気で寝込んでいて振込ができなかったなど、悪意のない理由で支払われないこともあるでしょう。そんな時、いきなり裁判所を通して勧告などをしたら、相手との関係性が悪化してしまいます。まずは、気軽な連絡ツールで連絡をとって状況を確認してみましょう。
相手に電話をして支払いについて相談
養育費の支払いの滞りについて、メールやメッセージなどで連絡をしても無視されてしまった場合、相手が意図的に支払っていない可能性が出てきます。しかしながら、携帯電話を紛失してしまった等の不慮の事故によって連絡を返せない場合も無きにしもあらずです。
そこで、第2段階としては、電話で本人と直接話すことをおすすめします。ここで注意したいのが、言葉遣いや口調です。元配偶者から金銭の請求をされることは面白いことではありませんから、理解を得られるように丁寧に状況説明と支払いの期限を伝えましょう。
内容証明書郵便で支払いの催促
養育費の支払いを催促する旨のメール、メッセージが無視され、電話をかけても出ないという状況が続いた場合、相手の知り合いや友人に相手が通常通り生活しているかどうかを確認してから、内容証明書郵便で文書を送付しましょう。
相手が通常通りの生活をしているのであれば、電話に出られるはずですし、メールの返信もできるはずですから、それを無視するのは故意と言わざるをえないです。内容証明書郵便は、文書の送り主と受け取り先、また、文書の内容を第三者である郵便局にも証明してもらえる郵便の種類です。
これによって、養育費の請求の連絡をしていて、相手もその郵便を受け取っているという状況証拠を作ることができますし、相手にもプレッシャーをかけることができます。
履行勧告を裁判所に依頼
養育費の支払いの滞りについて、当人同士でやりとりをしても解決しない場合は、裁判所に依頼をして履行勧告をしてもらいましょう。履行勧告とは、離婚時に調停や裁判をした裁判所で、離婚時の取り決めを相手が守らなかった場合に、履行を勧告してもらえるものです。
費用はかからず、裁判所に連絡して依頼をすれば対応してもらえます。裁判所から相手に電話で連絡が行き、養育費を支払うよう勧告してもらうことができます。
履行命令を裁判所に申し立てる
裁判所による、養育費の履行勧告は、そのとおりにしなかったからと言って、相手になにか罰則が課せられるものではありません。そのため、相手が無視をすることができてしまいます。
そこで、履行勧告でも相手が何も動かなかった場合には、裁判所に履行命令をしてもらいましょう。履行命令は、裁判所が相手に養育費支払いの命令を出し、その命令に従わなかった場合には、罰金が課せられるので、強制力が増します。
養育費回収の強制執行で財産を差し押さえ
養育費の履行勧告、履行命令をしても支払う努力をしない相手には、養育費回収の強制執行をしましょう。強制執行とは、裁判所に申し立てをして、相手の財産を差し押さえてもらう方法です。
相手が不動産や貯金などで資産を持ってる場合、それを差し押さえて養育費を支払わせることが出来るのです。なお、強制執行には、必要書類と手数料と郵便切手代等、数千円必要になります。
強制執行は未来分の給与も差し押さえられる
養育費の回収の強制執行をして、これまでの滞納分と当月分の養育費を支払ってもらったら、未来分の養育費の差し押さえもしておきましょう。これは、相手との関係性がこじれて、今後支払ってもらえる可能性が薄いなと感じた時におすすめの対処法です。
未来分の養育費は、一般的には給与の差し押さえによって行います。強制執行に必要な書類を揃えて、裁判所に申し立てをして、毎月給与からいくら分は差し押さえるということを裁判所を通して手続きしてもらうのです。
いかがでしたか。養育費は、親に支払う義務があります。例え、親同士が仲違いをして離婚をしても子供に罪はありません。親同士が関係性をこじらせて子供を育てるために必要な養育費が支払われなくなってしまうという自体はあってはいけないことなのです。
養育費は、支払う側にはもちろんその義務がありますが、受け取る側にも謙虚に受け取る姿勢が必要です。離婚をして夫婦ではなくなったとしても、子供の両親であること自体に変わりはないのですから、2人で協力して子供を育てていこうというスタンスは忘れてはいけないのです。
とは言え、相手が養育費の協力に応じなくなったら、然るべき措置が必要です。法的な強制力がある措置もありますから、まずは穏便に済ませる方法を模索して、それでもダメなら、徐々に強制力がある対処法を実践していきましょう。
まとめ
養育費を払ってもらえない時の対処法とは
・まずはメールやSNSのメッセージを利用して丁寧な文面を送ろう
・電話をする時は事情を説明して丁寧に支払期限を伝えよう
・相手に無視される場合は内容証明書郵便を利用して支払い催促をしよう
・裁判所に連絡して養育費の履行勧告をしてもらおう
・家庭裁判所に申し立てて履行命令をしてもらおう
・強制執行をして相手の財産を差し押さえて回収しよう
・今後の養育費が不安な場合は未来分も強制執行で差し押さえよう