体の痛みって、正体がわからないと不安になりますよね。耳の裏が痛いという症状で、原因がわからなくて悩まされる人もいます。しこりができていたりすると、何か悪い病気なのではないかと心配になります。
ところが、「肩こりからきている痛みかなぁ」とか「歯の痛みが原因かなぁ」とか考えていられるうちは、病院に行くことはイメージさえしません。それが、二日、三日と続いて、痛みに我慢できなくなってくると、何科に行けばいいんだろうと様子が変わってきます。
今まさに、そんな症状で悩んでいる人も、今は症状は出ていないけど、気になるという人も、参考になる情報が欲しいですよね。そこで今回は、耳の裏が痛い時、考えられる病気と対処法についてお伝えします。
耳の裏が痛い時、
考えられる病気と対処法
後頭神経痛
耳の裏が痛いという症状は、後頭神経痛の場合にも出てきます。キリキリと痛むという感じで、頭のてっぺんから耳の後ろにかけて痛みが走ることもあります。一度痛み出すと数日から数週間続きます。痛みを、目の奥にまで感じる人もいます。片頭痛と違って、脈拍と一致しないのも特徴的です。
後頭神経痛の原因のほとんどは、日々の疲労と極度のストレスです。前かがみの悪い姿勢が続く職業、たとえば、パソコン業務、美容師、看護師、エステシャン、調理師などの人たちが後頭神経痛になりやすいです。
後頭神経痛は、首のコリをほぐすことやストレスの軽減で治ることもありますが、診断を受けるなら脳神経外科になります。麻酔科による神経ブロックという麻酔を用いた治療法もあります。
大人のおたふく風
耳の裏が痛いということで、ほとんどの人が思いつく病気は、おたふく風ではないでしょうか。高熱が出て、顔が丸く腫れる初期症状は、子供も大人も同じです。人によっては、40度くらいの高熱になることもあります。子供のおたふく風邪の場合は、1週間くらい安静にしていれば、自然と回復しますよね。
心配なのは大人のおたふく風邪です。子供に比べて大人の場合は、体のどこかに疾患があることが多いので、合併症を起こしてしまう心配があるのです。一番注意したいのは、女性が妊娠中に感染すると流産の危険性があるということです。
男性の場合は、耳下腺炎性睾丸炎の後遺症として、無精子症と言われる不妊症の原因となってしまう心配があります。耳の裏が痛いと感じたら、早急に診断してもらういましょう。また、子供のころに、おたふく風邪にかかったかどうか、調べてもらうこともできます。
リンパ節炎
リンパ節炎と言って、1カ所または複数のリンパ節の炎症で、耳の裏が痛いということがあります。腫れと圧痛を伴うのですが、耳付近にはリンパ管が張り巡らされているので、腫れやすい場所なのです。おたふく風邪の心配がなく、耳の裏が痛い場合は、耳鼻咽喉科で診察してもらってください。
アテローム(粉瘤)
しこりがある、イボ状のようなものがある、それでいて耳の裏が痛い、そんな時はアテローム(粉瘤)かもしれません。老廃物が溜まったものです。皮膚から剥げ落ちてしまうはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が袋の中にたまってできたものです。
発熱がなく、ニキビの大きなものができて、なかなか耳の裏が痛いのが引かない場合は、形成外科か皮膚科に行ってみてください。表面の皮膚を少し切って膿みを外に出すという処置もありますが、外科的切除で表面の皮膚ごと切り取って縫うという処置もあります。
顎関節症
耳の裏が痛いのと同時に、顎が痛いという場合は、顎関節症かもしれません。特徴としては、カクンカクンと音が鳴る状態になったり、口が開かなくなったりします。また、関節の異常ではなく顎を動かす筋に痛みが出ている場合や顎関節の骨自体が変形してしまっている場合もあります。
顎関節症の治療は、主に口腔歯科でマウスピースのようなものを作ってもらうことになります。痛みが我慢できない場合は鎮痛剤で抑えます。急性の場合は、炎症の拡大を防ぐために10分くらい冷やす処置を取りましょう。慢性の場合は、逆に温める方が良いです。
以上、耳の裏が痛い時、考えられる病気と対処法についてお伝えしました。近頃は、耳の裏が痛いという症状で悩む人が増えています。その多くは、後頭神経痛やリンパ節炎のようです。きっと、パソコンを使うストレス社会の特徴的な症状なのかもしれませんね。
気になるのは、大人のおたふく風邪ですよね。大人になってからのおたふく風邪は危ないとよく聞きますが、具体的なことは知らない人がほとんどでしょう。本文で紹介した妊娠や出産に関する合併症の他にも、骨髄炎、心筋炎、膵炎、肝炎、難聴、甲状腺炎、溶血性貧血などもあります。
さまざまな理由で、病院に行くのが抵抗がある人も多いですが、受けれる診断は受けておいた方が安心です。ぜひ、体を大切にしてください。
まとめ
耳の裏が痛い時、考えられる病気と対処法
●後頭部神経痛の診断は脳神経外科。
●大人のおたふく風邪は合併症に注意する。
●リンパ節炎の場合は、耳鼻咽喉科でOK。
●アテローム(粉瘤)の診断は、形成外科か皮膚科。
●顎関節症は、口腔歯科でマウスピースを作る。