「今さびしい気持ちでも、必ず時が解決する」とはよく言うものの…それで納得出来るなら、さびしさなんて抱えませんよね。誰にでもふと、さびしさを感じる瞬間は訪れます…貴方はどんな時でしょうか。
恋人と別れてしまった、友達と喧嘩をしてしまった、仕事が上手くいかなくて心がささくれ立ってしまった、一生懸命努力して周りを見渡すと、いつの間にか空回りしていた…さびしさはどこにでも転がっていて、気付けば心の隙間に入り込んでいるものです。
そんな時、気軽に手を伸ばせる映画を観て、あたたかい気持ちになってみるのはいかがでしょうか。今回は、さびしさを感じた時にこそ観て頂きたい、ヒューマンドラマ中心の映画をお伝えします。
【プリシラ】(1994年公開/オーストラリア/監督 ステファン・エリオット)
シドニーのドラァグクイーンであるミッチ、バーナデット、フェリシアの3人が、ブラックジョークを交えながらも、それぞれのセンシティブな心情を描いたロードムービー。
忙しなくショーをこなす最中、既婚・離婚経験を秘密にしているミッチに、元妻から届く依頼。3人はアイススプリングで開かれる地方公演を実現する為、オンボロバス『プリシラ号』に乗り込み、3000キロの旅をします。
ドラァグクイーンの直面する問題を体当たりで乗り越え、様々な人々と出会い、最終的に3人は自分自身と向き合います。目的地は同じでも、それぞれに出した答えは、どんな道なのか。
一見泥臭く感じるかも知れませんが、煌びやかで誇り高く、罵っている様で実は仲間思いのドラァグクイーン3人の関係はとてもあたたかく、さびしい気持ちを明るくしてくれますよ。
また作中で出てくる色とりどりの美しい衣装はとても評価が高く、こちらも一見の価値ありです。
【フォレスト・ガンプ】(1994年公開/アメリカ/監督 ロバート・ゼメキス)
バス停でバスを待つ主人公のフォレストが、同じくバスに乗る為隣へ並ぶおばあさんに、自分の話をするところから物語は始まります。
フォレストは知能指数が低く、脚が悪い少年ですが、息子のフォレストを自慢に思う優しい母に育てられ、学校も普通級へ。周りと違うだけでいじめられるフォレストは、悪かった筈の脚が速くなります。
「人生はチョコレートの箱みたいなもの。食べてみるまで中身は分からない」。どこかで聞いたことがあるこの台詞は、作中でフォレストの母が言う台詞。正に箱の中のチョコレートの様に、フォレストは場所も経緯も内容も違う、たくさんのことを経験します。
自分のすることがなんでも良い方向に転がる訳ではなく、さびしい気持ちになることはたくさんありますが、やれることをなんでもやってみるフォレストの人生を描くこの作品は、今の自分がどこに繋がるか分からなくても、最後まで味わってみなければ分からない可能性そのもの。優しい気持ちになれて、元気をくれる作品ですよ。
【アメリ】(2001年公開/フランス/監督 ジャン=ピエール・ジュネ)
冷徹な医者である父に毎週の診察をされると、動悸が激しくなるアメリ。心臓病と診断されてしまい、外にも出して貰えず、教師である母に教育されて、かなり不思議な女の子に育ちます。
この物語は、アメリの視点から語り口調で展開していく日記のようでもあるのですが、アメリは周りと少し違う見方をするので、散文詩を聞いているかのような気持ちよさを感じることも出来るでしょう。
自分ルールで自己流に生きていくアメリは恋をするのですが、回り道を自分で作って素直になれず、悩みます。
少し浮いてしまって辛いなぁと思った経験、誰にでも一度はありますよね。『アメリ』はそんな気持ちにそっと寄り添ってくれるので、あまり重くなり過ぎずに観たいという人にもぴったりの作品です。
【東京ゴッドファーザーズ】(2003年/日本/監督 今敏)
3人の訳アリホームレスであるギン、ハナ、ミユキが、ひょんなことからゴミステーションで赤ん坊の清子を拾ってしまい大パニック。本当のお母さんの元に届けてあげよう!ということになるのですが、世の中そう上手く事は運びません。
現実と自分の過去に向き合いながら、3人が力を合わせて結末を迎えるアニメーション映画です。
面白おかしく展開しながらも、さびしさを含めた複雑な心情もしっかり描いている作品で、最後のどんでん返しには脱帽してしまう程引き込まれること間違いなしでしょう。
ハラハラしたいけど現実から離れ過ぎず、最後にはすっきりしたい!という人にお勧めの一本です。
【愛しのローズマリー】(2001年/アメリカ/監督 ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー)
「とびきりの美女をものにしろ、セクシーな若い女性こそ、この世の全てだ」というどうしようもない父の遺言のせいで、主人公のハルは見た目の良い女性ばかり追いかけてしまう男に。
とあるきっかけで出会った催眠術師はそんなハルを哀れに思い、心の美しい人ほど魅力的に見える催眠をかけます。そしてハルは、体重130キロのローズマリーに恋をするのです。
ローズマリーが生きる世界の人々と出会い、ハルの心は満たされていきますが、それが長く続くはずもなく…果たしてこの現実をハルはどう受け止め、どう生きるのか。さびしい気持ちを、たくさん笑って、あたたかい気持ちになりたい人に、是非観て欲しい一本です。
ひとことに「さびしい気持ち」とは言っても、人によっていろいろなさびしさがあって、どんな気持ちに持っていきたいかも人それぞれですよね。
さびしさを癒す方法も今はたくさんありますが、映画もまた、物語によってたくさんの気持ちをくれる、一つの方法です。どんな気持ちになりたいか、限られた時間の中で少しでも心を和らげてくれる作品を選ぶのは、大切なこと。
さびしさが消える時を待たなければならないのなら、じっと辛い時間を耐えるよりも、映画の物語に感動して、その時を早めてしまいませんか。
この機会に、是非とも自分の気持ちに合った映画をチョイスして、晴れやかな清々しい気持ちで過ごせる時間を手に入れて下さいね。
まとめ
さびしい気持ちを優しく癒してくれる映画とは
・ 【プリシラ】(1994年公開/オーストラリア/監督 ステファン・エリオット)
・ 【フォレスト・ガンプ】(1994年公開/アメリカ/監督 ロバート・ゼメキス)
・ 【アメリ】(2001年公開/フランス/監督 ジャン=ピエール・ジュネ)
・ 【東京ゴッドファーザーズ】(2003年/日本/監督 今敏)
・ 【愛しのローズマリー】(2001年/アメリカ/監督 ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー)