人前で顔が赤くなるのは赤面症と呼ばれ、ある種の対人恐怖症だとも言われています。本人以外は大して気にならないことですが、本人にとっては大問題ですよね。
ちょっとした心的ストレスでも、すぐに赤くなり、それを人に見られているという意識が混乱を増大させてしまいます。苦手な上司や、意識している異性、学校の先生など自分に強い影響力を持った人だと、最初から顔が赤くなるのが気になってしまうのではないか、と悩んでしまうものです。
すぐに顔が赤くなってしまうのは、その人の内面が原因であることが多く、根性論では改善することは難しいとされています。また、根性論で無理矢理に改善しようとすると悪化するかもしれません。
ですが、対人のプレッシャーからパニックに陥っても、自分の心を落ち着かせる方法さえ知っていれば安心ですよね。そこで今回は、人前で顔が赤くなっても、呼吸法を使って心と体をリラックスさせる方法をお伝えします。
顔が赤くなるのが辛い人に最適な
呼吸をつかったリラックス術
「腹式」と「胸式」…2つの呼吸法を知っておこう
顔が赤くなる人に効果的な2つの呼吸方法を覚えておきましょう。普段無意識でしている呼吸は「胸式呼吸(きょうしきこきゅう)」、睡眠中やリラックス時にしている「腹式呼吸(ふくしきこきゅう)」と言います。
「胸式」は肩や胸を動かすことで肺に空気を入れるのに対し、「腹式」は肺の底部にある「横隔膜(おうかくまく)」を腹筋を使って上下させ呼吸をします。腹式呼吸を意識的に出来ない人は、仰向けになり深呼吸してみましょう。
息を吸った時にお腹が膨らむのが腹式呼吸と覚えてください。「腹式呼吸」には、心身をリラックスさせる効果があり、胸式呼吸と使い分けが出来るようにしておくと良いでしょう。
顔が赤くなる前から腹式呼吸を意識しよう
顔が赤くなる人は、特定の相手や人の性格タイプがわかっていれば、会話の前から意識して腹式呼吸をしておきましょう。普段から腹式呼吸をする習慣を付けておいてもいいですね。心的ストレスがかかると、大抵息を止めているか、胸式呼吸が荒くなり過呼吸状態になる場合もあります。
自分自身で「緊張している…」「顔が赤くなるかも…」と感じたら、まずは「フゥー!」と声に出すくらい肺に溜まっている息を吐き出し、吐いたら鼻から吸い込む、を繰り返します。体が腹式呼吸を思い出し始めたら、徐々に心も落ち着いてくるはずでしょう。
「4・7・8呼吸法」で脳をリラックスさせよう
顔が赤くなる人をリラックスさせる腹式呼吸に慣れてきたら、さらに効果がある「4・7・8呼吸法」に挑戦しましょう。これも腹式呼吸で行いますが、少しだけ手順が変わります。「顔が赤くなるかもしれない」と感じたら、以下の順番で呼吸をしてみましょう。
①鼻から息を吸いながら「4」数えます。
②吸った息を止めて、「7」数えます。
③口から息を吐きながら「8」数えます。
①から③を1回として、これを3回繰り返してください。
この方法は、アリゾナ大学医学部のアンドリュー・ウェイル教授によって、夜寝付きが悪い人のために提案された呼吸法です。腹式呼吸には、心身をリラックスさせる働きはもちろん、脳の活動を抑える効果があります。
心にかかるストレスとは、脳に負担がかかっている状態のこと。脳をリラックスさせることは、顔が赤くなる人のストレス緩和に繋がるでしょう。
「イメージ」を使った呼吸でリラックスしよう
「顔が赤くなるかもしれない…」と感じ取った時、「赤くなった顔をなんとかしたい!」という気持ちが起こりますが、目を閉じて腹式呼吸することに意識を集中させてください。呼吸をしている時の息が、自分の体の中を通って肺に送り込まれるのをイメージすることが大切です。
目を閉じれない状況なら、意識だけでも自分の体内に集中してみてください。自分が水風船になったようなイメージを持ちながら腹式呼吸をすると、固まった心身がリラックスしやすくなります。
また、自分の足が木の根っこになったイメージで、地面から息を吸い込むイメージを作ってみても良いでしょう。呼吸と心身をイメージでつなぐことで、より早くリラックスした状態につなげやすくなります。
「丹田」を意識した呼吸で心を落ち着けよう
人前で顔が赤くなるような状況では、気持ちが焦ってしまい、落ち着いて呼吸の手順を踏めない場合もありますよね。そんなときは、2つのことだけ意識してみてください。
ひとつは、胸式でも腹式でも構わないので、慌てずゆっくりと呼吸すること。もうひとつは、どんな姿勢であっても、手をおへそよりも少し下に当てて深呼吸することです。
その場所は「丹田」といい、東洋医学や武術、ヨガなどではとても重要視されている部分です。その手を当てた丹田から吸った息を吐き出すイメージを持ってください。
実際に吐いているのは口から出てくるので、あくまでイメージの中で行います。丹田を意識すると自然と下腹部に力が入り、体を支えることが出来るので、上半身がリラックスしやすくなります。
また、身体に意識を向けることで、心的ストレスからも開放されやすい状態になります。丹田に手を当てて、静かに深呼吸するだけでも効果があるので、自分で顔が赤くなると感じたら試してみてください。
いかがでしたか。
すぐに顔が赤くなることは決して悪いことではありません。自分で短所だと思っていることは、他人から見るとチャームポイントに見えたりするものです。
「呼吸法」だけですべてを解決することはできませんが、ストレスを和らげたり、解決の糸口を見つけるためのヒントにはなるので、普段から生活の中に呼吸法をどんどん取り入れてみてください。
普段、無意識のうちにしている呼吸を意識的にすることで、心と体の調子を整えることができるでしょう。また、「息をする」とは「生きる」ことそのもので、「息を止める」とは「行き詰まる」ということなのです。
人前で顔が赤くなるのが辛い時とは、まさに息を止めてしまって、行き詰まっている状態です。そんな時こそ自分の内側に目を向けて、ゆっくり静かに呼吸することを思い出してみましょう。
まとめ
顔が赤くなるのが辛い人が呼吸法でリラックスするには
・ 「腹式」と「胸式」…2つの呼吸法を知っておこう
・ 顔が赤くなる前から腹式呼吸を意識しよう
・ 「4・7・8呼吸法」で脳をリラックスさせよう
・ 「イメージ」を使った呼吸でリラックスしよう
・ 「丹田」を意識した呼吸で心を落ち着けよう