いろんなところで取り上げられているお葬式やお通夜と比べて、悩んでしまうのが「49日」の服装ですよね。そもそも「49日」とは(仏教において:浄土真宗を除く)死者の魂がこの世とあの世の間をさまよっている期間のこと。
輪廻転生の準備をしている死者の魂に対して、遺族が丁寧に冥福を祈ることで、無事にその魂が極楽浄土へと送り届けられるとされています。
49日までが「忌中(忌中)」、49日を過ぎると「忌明け(きあけ)」となり、忌明け法要は親類縁者を招いてお寺にお参りいただき、故人の成仏を祈ります。この意味をしっかりと理解したうえで、それにふさわしい身だしなみで参列するのが大人のマナーです。
そこで今回は、大人の常識ともいえる「49日の服装」について、気を付けたいポイントについてお伝えします。
49日の服装で注意しておきたい
5つのポイント
「基本は喪服」と覚えておくべきです
1回忌までの法要は喪服が基本、ということは49日の服装もまた、喪服を選ぶのが正解です。しかし実際は「親族のみで法要をするから、地味目の服でもいい」なんて言われることもあります。そんな時は、主催者に49日の服装について、具体的に聞いてみるのも一つの手です。
【女性の場合】
正式な喪服はスカートタイプです。今はパンツタイプも売られているので失礼には当たりませんが、今から購入を考えているのならスカート(ワンピース)タイプを選んでおいた方が無難でしょう。「平服でお越しください」と言われたら、光沢のない黒のワンピースか黒のスーツ、アンサンブルで出席するとよいですよ。ストッキングも靴も光沢のない黒を選んでください。
【男性の場合】
光沢のない黒いスーツ(シングルでもダブルでも可)に白いワイシャツ。ネクタイ、靴下、革靴、ベルトはすべて黒で統一しましょう。
【子供の場合】
制服があれば男子も女子も制服で出席します。制服を持っていなければ、派手な柄は避け、黒っぽい服装で参列しましょう。
「光沢」や「派手さ・おしゃれ感」は不要と心得ましょう
「49日の服装は黒だよね」とまではわかっていても……色にばかりとらわれて素材にまで気が回らなかった、というのはよくある失敗談です。49日の服装は黒で固めればいいというわけでもありません。
靴やカバンに光沢感は厳禁。金具が目立つのもNGです。もちろん、喪服やスーツなどに合わせるストッキング・ネクタイも、模様やワンポイントが入っているものは失礼に当たりますよ。きちんと礼装用を選んでおくのが一般常識です。
特に、社会人になったら冠婚葬祭用の服や持ち物(服はもちろんですが、その他靴・カバン・数珠・袱紗など)は折に触れてそろえておくのが良いでしょう。
慶事は準備期間にある程度余裕があることが多いですが、弔事は突然訪れることが多いもの。訃報や法要の際に慌てることがないようにしておくことが大切です。
無理して装飾品を身につける必要はありません
「49日の服装のマナー」には、服だけでなく装飾品なども含まれます。
【つけてもよいとされている装飾品】
・結婚指輪(ダイヤが入っている場合は指輪をまわしてダイヤ側を手のひらに向けておくのも1つのマナーです)
・パール、オニキスのネックレスやイヤリング、ピアス・光沢のない黒い布製のバック
【つけてはいけない装飾品】
・金のピアスやネックレス
・派手な腕時計など光るもの(豪華すぎるものも避けた方が無難です)
・殺生をイメージさせるアニマル柄のベルトなど
・ヒールの高い靴
・サンダルなどつま先の出る靴
・金具のついている鞄
・革の鞄、高級ブランドの鞄
・光沢のあるアイテム
もっとも49日の服装は目立たないフォーマルが基本。装飾品も、本来ならば何もつけないのが正解ですから、持っていないからといって無理して真珠のアクセサリーなどを用意しなくても大丈夫ですよ。
髪型にも気を配りましょう
49日の服装に合わせて気を配りたいのが髪型です。男性も女性も「髪の毛ボサボサ・寝ぐせつき・フケが落ちている」なんて論外なのは常識中の常識です。美容院に行くことはできなくても、せめてちゃんと整えて、清潔感を心がけてくださいね。
さて男性はともかく、女性は髪の毛が長い場合は最低でもきちんと後ろで束ねるようにしましょう。その際は黒のシンプルなバレッタなどを使用するといいですね。バレッタがないなら黒のシュシュでまとめたり、下の方でお団子にして、ネットのついた黒のおだんごヘア用の髪飾りを使うのもよいでしょう。
ただし、49日の服装に合わせて後ろで髪を束ねる際は、
・髪を束ねる位置は耳下あたり
・後れ毛は出さないこと
・サイドまですっきりまとめる
この3点を意識してください。
季節によって注意事項があることを知りましょう
49日の服装は季節によって注意事項が若干変わってきます。
【夏場の場合】
男性が着るワイシャツは半そででもかまいません。女性は上着のない喪服でも大丈夫ですが、肩をはじめ肌が露出してしまうような服装は避けましょう。
【冬場の場合】
男性も女性も、上掛けに革製品や毛皮、ファーのついたものといった「殺生を連想させるもの」を着てはいけません。光沢のない黒系のコートを羽織るようにしましょう。
また、焼香の際は上着は脱ぐのがマナーです。49日の服装は、季節を問わず同じものを着るのが基本です。しかし、暑さや寒さに合わせた身だしなみも当然必要ですよね。せっかくきちんと喪服をそろえても、他の部分で場違いにならないように気をつけましょう。
いかがでしたでしょうか。49日の服装に限らず、冠婚葬祭の服装や振る舞いは社会人としてできて当然のこと。学生ならともかく、とはいえ二十歳を越えて常識知らずな言動をとれば、その人自身も、その人の親の育て方も疑われてしまいます。
49日の服装を始め、一般常識は調べようと思えばいくらでも調べられますよね。あまり身近ではないけれど、知っておかなくてはいけない知識です。また、その場を繕おうとしても、普段粗雑な態度を取っている人は、ふとした時にその癖が出てしまうものです。
慣れない場に臨んであたふたするのではなく、礼節をもって故人を偲んであげられるように、常日頃から自分の立ち振る舞いを意識するように心がけましょう。
まとめ
49日の服装において気をつけるべき点とは
・ 「基本は喪服」と覚えておくべきです
・ 「光沢」や「派手さ・おしゃれ感」は不要と心得ましょう
・ 無理して装飾品を身につける必要はありません
・ 髪型にも気を配りましょう
・ 季節によって注意事項があることを知りましょう